理事長挨拶

 平素より特定非営利活動法人 日本小児がん看護学会の活動に、ご理解ご協力をいただき誠にありがとうございます。2017年1月より理事長を拝命しております、上別府圭子(かみべっぷ きよこ)です。宜しくお願いいたします。
 自己紹介を少しさせていただきます。私は、1993年ころより大学病院の病棟で小児がんの治療中のお子さんや家族にお会いしたり、外来で、小児がんの治療は終了しているがPTSDをもって生活に支障を来しているお子さんや家族、あるいは、同胞が治療中のきょうだい児や親にお会いしたりしていました。忘れられないエピソードがいくつもあります。また、「死をめぐる臨床研究会」を主宰して、院内各科の医師や看護師チームと症例研究会を開き、子どもや家族の理解に努めたり、医師・看護師チームの困りごとについての話し合いを重ねたりしていました。お子さんが小児がんの治療を受けた方の親の会(お子さんが治った家族とお子さんが亡くなった家族の合同の家族会)にも参加させていただきました。2002年に家族看護学の教育研究を専門とする今の職場に着任したわけですが、小児がん看護を研究の一つの柱にすることを決めていたので、ニュースレターを取り寄せたのが、この学会との出会いになります。

 がん対策に関する最近の国の動きとしては、ご存知のように第2期がん対策推進基本計画に基づいて2013年2月に15の小児がん拠点病院が選定されました。その後の実情を踏まえ、2018年3月には第3期がん対策推進基本計画が閣議決定されました。ここでは、「ライフステージに応じたがん対策」、中でも「小児・AYAについて」が特記され、また人材育成に関しては、「(医師らと)協力して、がん医療に関する基本的な知識や技能を有し、がん医療を支えることのできる(中略)看護師等の人材を養成していく必要がある」と記され、「国は、がん医療や支援の均てん化に向けた、幅広い人材の育成について、検討を行う」「国は(中略)小児・AYA世代(中略)といったライフステージに応じたがんへの対応ができる医療従事者等の育成を促進する」などが、取り組むべき施策として明記されました。さらに3年以内に、「小児がん医療・支援のあり方に関する検討会」などで検討を行い、小児がん拠点病院とがん診療連携拠点病院等の整備指針の見直しを行うことが具体的な個別目標のひとつに掲げられました。私は本学会理事長として、この「小児がん医療・支援のあり方に関する検討会」に構成員として加わる機会をいただきました。厚生労働省での会議に加え、構成員に対する数回の意見聴取の後、2018年7月末に「小児がん拠点病院の指定要件の見直しに関する報告書」および「局長通知」が発出されました。そこには「小児看護やがん看護に関する専門的な知識及び技能を有する専門看護師又は認定看護師を配置していることが望ましい。さらに、当該看護師は、小児がん看護に関する知識や技能を習得していることが望ましい」ことが要件として明記されています。「望ましい」という記載ではありますが、「小児看護」や「がん看護」のみではなく「小児がん看護」の専門性が認められた画期的な改訂であると考えています。

 さて本学会では、「小児がん看護に関する知識や技能」の体系的な現任者教育を行うべく、学会認定「小児がん看護師」養成に向けた研修システムの準備に取り掛かっております。研修システムの成果は、日本の小児がん看護の底上げや均てん化につながるはずですし、小児がんの治療を受けている子どもたちや経験者・家族のQOLの向上にもつながるものと期待します。学会の認定制度に関しましては2017年の総会にて、会員の皆様から認めていただいたところでありますが、2019年 春には、e-learning と研修会を組み合わせた研修システムをスタートさせる予定です。いましばらくお待ちいただくとともに、積極的な参加とフィードバックをお願いいたします。

 いま、日本の小児がん看護が熱い! 会員諸氏のさらなるご理解ご協力を、お願いいたします。

   2018年9月

 日本小児がん看護学会
理事長 上別府 圭子